夜間頻尿

夜間頻尿

夜間排尿のために起きてしまうことを、夜間頻尿と言います。
50歳以上では、男性約70%、女性約60%にみられると言われています。若いときは、睡眠中に抗利尿ホルモンが分泌され朝までトイレに行く必要は無いのですが、加齢によりホルモン分泌が低下し、夜間頻尿になってきます。睡眠の深さも年齢とともに浅くなり、目が覚めた時にトイレに行くようになります。また夜間頻尿が2回以上になってくると、睡眠障害や転倒・骨折を起こすことがあり、生活の質(QOL)が低下すると言われています。

原因

多尿

正常な1日尿量は約1500cc前後です。3000cc超えるようになると多尿です。

主な疾患

水分過剰摂取、糖尿病など

夜間多尿

65歳以上では、1日の尿量の1/3を超える尿が夜間排尿する状態です。

主な疾患

水分過剰摂取、薬剤性多尿、高血圧、心不全、睡眠時無呼吸症候群など

膀胱畜尿障害

膀胱容量が小さくなる、残尿が多いため新たに貯められる尿量が少なくなる状態です。

主な疾患

前立腺肥大症、過活動膀胱、間質性膀胱炎、高血圧

睡眠障害

何らかの理由で入眠障害や、途中覚醒してしまう状態です。

主な疾患

不眠症、うつ病、睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、むずむず脚症候群など

検査

初めに、基本検査(問診・検尿・残尿検査)を行います。夜間頻尿の訴えが確認できましたら、必ず行う検査として排尿日誌を記録してもらいます。

排尿日誌

朝起きてから次の朝起きるまで、すべての排尿記録を3日分してもらいます。

排尿日誌からわかること

  1. 排尿回数(昼間・夜間)
  2. 尿量(24時間尿量・夜間尿量・1回尿量)
  3. その他 飲水量・睡眠時間・アルコール、カフェイン摂取など

夜間多尿、膀胱蓄尿障害あるいは生活習慣によるものかを排尿日誌から読み取っていきます。

治療

夜間多尿のタイプ

ほとんどが内科的疾患によるものです。まずは、内科的疾患の治療が重要です。

行動療法・生活指導

  • 飲水指導
    夕方以降の飲水、アルコールやカフェインの制限
  • 塩分制限
  • 運動療法
    夕方以降の軽い運動をすることによって浮腫みを改善し、起きているうちに排尿を促します。また、睡眠障害の改善が期待できます。

薬物療法

  • バゾプレッシン

    抗利尿ホルモンの低下に伴う夜間頻尿に使用します。現在日本では、男性のみに保険適応となっています。ただし完全に夜間尿を止めてしまうため、心不全、腎機能障害のある方は使用できません。

  • 利尿剤
    間質に溜まった水分(浮腫み)を血管内に戻し、起きているうちに排尿させます。

膀胱畜尿障害のタイプ

過活動膀胱、前立腺肥大によるものが多く、治療はそれらに準じます。

睡眠障害

睡眠薬

加齢に伴う睡眠障害は、大体同じ時間に目が覚めるのが特徴です。睡眠薬を使用しますが、夜間転倒の可能性もあるため、筋弛緩作用が少なく、作用が遷延せず認知機能に影響しないものを使用します。

その他

むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害などは、眠剤の効果がなくその他に治療が必要です。
睡眠時無呼吸症候群は、10秒以上持続する無呼吸が一晩に5回以上起こる状態のことで、中高年男性の約20%に認められると言われています。これも睡眠障害による夜間頻尿を引き起こしますが、専門的な検査、治療が必要となります。

夜間頻尿は、回数が多いほど治療困難なことが多い病態です。しかし、1回でも頻尿が少なくなることで睡眠の質はよくなり、生活の質は向上します。あきらめずに、治療を続けていきましょう。

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